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メタルコンポジット・チョークコイルは、コアの材料を、従来のフェライトから金属に置き換えたチョークコイルです。
金属は、フェライトに比べて高い飽和磁束密度(※1)を持っているため、たくさんの磁束を作ることができます。そのため、同じ大きさならば、より多くの電流を流しても、必要な性能を発揮することが可能です。
ただし金属は、そのままでは電流が流れるため、交流の電圧が加わると渦電流が生じて、大きなロスが生じます。このロスはバッテリー駆動時間を縮めるだけでなく、同時に大量の熱にも変わります。しかも、熱を冷ますためファンを回すと、そのための電力消費で駆動時間がさらに短くなったり、騒音でAV性能を低下させることにもなりかねません。
とくに最近のCPUは、動作時に非常に高温になるので、いかに冷却するかが大きな問題になっています。そのような場所に、さらに熱を大量に出すデバイスを使うことはあり得ない話で、そのため、金属コアのチョーク・コイルは、長い間実用化が困難とされてきました。
しかし、NECトーキンでは、伝統あるセンダストコアの製造方法を応用した、微細な高効率材料粉末を使い、金属ならではの高い飽和磁束密度を生かしながら、ロスも少ない優れた特性を発揮するメタルコンポジット・チョークコイルの製造に成功しました。また、金属粉末材料を一体成形して作るため、従来のような、うなり音を発生しにくい構造になっています。
このメタルコンポジット・チョークコイルのうち、MPCシリーズは、流れる電流がとくに大きく、動作周波数が高いCPU周辺にむいた製品です。 材料の選択や、銅線の形状を平角線にするなどの構造上の工夫によって、他に類を見ない高い低ロス性能を達成しています。
また、チョークコイルには、直流電流が流れるとインダクタンスが下がり、インダクタンスが下がるとさらに電流が流れてしまうという、直流重畳という現象があります。この現象が起きやすいと、回路が不安定になってロスが増えたり、最悪の場合IC回路を破壊することにもつながりかねません。
MPCシリーズはこの現象を極限まで抑える、優れた性質を持っています。
一方、比較的周波数が低く、流れる電流も中くらいのロジック回路用のチョークコイルには、今も主にコスト的な要求から、フェライトが多く用いられています。
しかし、パソコン全体のロスの減少という観点からは、もはやCPUまわりの対策だけでは限界がきていて、それ以外の周辺にもより高効率の部品が求められるようになってきています。
その用途に向けて、NECトーキンは、MPLCシリーズを提案しています。 MPCシリーズとの違いは、銅線の形状を丸線にすることで、より高いインダクタンスを必要とする用途に対応したことです。もちろん、こちらもメタルパウダーコンポジットならではの、高効率で、直流重畳性能が良く、うなり音も出さないという性質を持っています。
高効率金属コアを用いることで、チョークコイルの特性は、従来のフェライトコアのものに比べて、倍近く改善されます。そのため、従来と同じ性能のチョークコイルを、ほぼ半分の体積で作ることが可能になりました。
また、外形が同じサイズでよければ、コアの厚みを薄くして、かわりに巻き線の太さを太くできます。その結果、電気抵抗が減って、ロスを大幅に減らし、熱の発生の少ないチョークコイルを作ることも可能になりました。
(※1)飽和磁束密度:ある物質の磁化の強さがそれ以上大きくならない限界の磁束密度。 |
マグネット・バイアス
従来のフェライトコアのチョークコイルでも、NECトーキンは他にない技術を持っています。
それはマグネットバイアス(MB・PIシリーズ BIASCHOKE®)という方法です。巻き線に電流を流したとき、コアにできる磁束の上限は、フェライトを使う限りほとんど変えられません。
しかし、ここであらかじめ、強力な磁石を使って、逆向きの磁束を作っておいたらどうでしょうか。たとえばあるコアが、10本まで磁束の発生を許すとして、その磁束のマイナス方向に、磁石を使って3本分の磁束を作っておくわけです。すると、そのコアには、最大で13本の磁束を作れるだけの、電流を流すことが可能になります。
この非常に面白いアイデアは、実は30年ほど前から存在していました。ところが、それを実現するには、逆向きの磁束を作る強力な磁石が必要だったため、アイデアの域を出ることができなかったのです。
とくに問題だったのは、基板を実装するときに通す、リフロー漕で加わる230〜240℃の熱でした。これによって、常温では機能する素子が作れても、機器に実装することにより磁力が弱まって、使い物にならなくなってしまっていたわけです。
しかしNECトーキンでは、長年、磁性材料を扱ってきたノウハウを駆使してこの問題を解決し、マグネット・バイアス方式のチョークコイルを実現しました。
これは一般的なフェライトコアと、メタルの間を埋める優れた性質を持っています。 |
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