メタルコンポジット・チョークコイル


 今やパソコンは、ビジネスはもちろん日常生活にも欠かせない、あって当たり前の家電製品となりました。それだけに、何を魅力としてアピールできるかが、売れ行きを大きく左右するようになっています。とくに最近人気を集めているのは、軽量コンパクトな高機能ノート型パソコンと、大型液晶のAVパソコンでしょう。
 ノート型パソコンは、ほとんどの作業をデスクトップ型に匹敵する快適さで行え、その上で軽量、薄型、さらに、一泊二日の出張くらいなら、再充電の必要がないくらいのバッテリー維持時間が求められています。
 また、AVパソコンは、大画面で解像度の高い液晶ディスプレイを備え、地上波デジタルTVやDVD鑑賞、テレビ録画、映像編集なども可能で、さらに無線LANを内蔵して、どの部屋からでもインターネットに接続できる高性能、多機能な製品に人気が集中しています。しかも、家庭内で場所を取らないように、画面は大きくても筺体は小さくまとめたものがトレンドで、そのような製品の基板には、ノート型パソコンのものと同じものが使われるケースが増えています。
 これらのパソコンで、今、いちばん大きな課題とされているのが電源周りです。
電源とは、コンセントやバッテリーからのパワーを、CPUなどの主要部品が扱える形に加工して供給するデバイスで、そこには必ずチョークコイル(パワーインダクタ)と呼ばれるコイル部品が使われています。
 従来、高性能なパソコンでは、消費電力を抑えるために、CPUなどメインの機能を担う電子部品の低電圧化が進められてきました。
 一方、パソコン全体では、さらに多機能化を推し進めていて、電力もより多く消費するようになっています。つまり、一方で省エネルギーを進め、もう一方でより多くエネルギーを使おうとしているわけです。
 その結果、パソコン全体の消費電力は以前とあまり変化していません。ただ、ここで大きく変わってきたのが、必要とされる電流です。
 電力は電圧×電流なので、パソコンの消費電力が同じままで電圧が下がると、電流はどんどん大きくなってしまうのです。
 また、ノート型のパソコンは、面積サイズの縮小は止まりましたが、より薄く、より軽くという方向性は相変わらずで、それにふさわしい技術は今も強く求められています。
 このような時代の要求は、チョークコイルにとっては、実は解決の非常に難しい、矛盾した内容です。
 これまで使われてきたチョークコイルの大半は、フェライト製の磁気コアに銅線を巻き付けたコイル部品でした。
 銅線に電流が流れると、コアに磁束が生じます。この磁束の数は、コアの材質と大きさで上限が決まっていて、その数を越える磁束を作る電流が流れると、チョークコイルは本来の機能を果たせません。パワーをロスし、熱を発生させてしまうのです。
 従来のフェライトを使う限り、電流をより多く流すには、コアをより大きくするしかありません。
 しかし、軽量化、薄型化の要求によって、それは許されないという矛盾した状況が存在します。
 また、フェライト製バルクコアで組み立てたチョークコイルは、構造的にうなり音を発生しやすく、AVパソコン向けにはあまりふさわしくありません。
 これらの難問をいかに解決したら良いでしょうか。その回答としてNECトーキンが提案するのが、メタルコンポジット・チョークコイルです。