電位と変位を自在に変換する圧電デバイス。その多様な可能性に、今、世界は大きな関心を向けています。


時代をリードする圧電テクノロジー

 圧電(ピエゾ)とは、ある種の結晶に備わった性質で、電気を加えることで変形し、変形を加える事で電気を発生する現象です。それは、自然がもたらす、神秘の一つといっていいでしょう。
 その結晶を材料に、セラミック化・積層化し、素子にして、さらにデジタル機器の心臓部を担うユニットに練り上げたのが、圧電デバイスです。この圧電デバイスには、様々な優れた性質が備わっています。
強い力、素早い応答性、高い変位精度を備えながら、エネルギー効率に優れ、発熱やノイズも極めて小さく安全性に優れています。そのうえ、構成も極めてシンプルで、サイズも小さく、薄く、限られたコンパクトな場所に収めることが可能です。




 近年、家電の「新三種の神器」として、薄型テレビ、デジタルカメラ、DVDレコーダーが、景気浮上の駆動役としてクローズ・アップされてきました。これらに代表されるデジタル家電は、そのほとんどが、高性能化と軽薄短小化の相矛盾する性質を、同時に厳しく追求しなければならない宿命を負っています。
 そのため、デジタル家電を構成する部品は、ますます高密度な実装が、行われるようになっています。一方で、さらに高い周波数での動作が求められるため、つねにノイズや熱の発生に悩まされ続ける状態にあります。
 このような過酷な条件への対応は、旧来から使われてきた電磁部品では、もはや限界に近くなっています。これから先、さらにデジタル家電のレベルを上げていくためには、何か新しい考え方が必要です。
 そんな、新しい時代を切り開くキー・テクノロジーの一つが、他ならぬ圧電デバイスなのです。



 当社には、この圧電デバイスに関して、40年以上のとり組みの歴史があります。
 この分野に対して、非常に初期から可能性を見抜き、数多くの開発を重ねて、技術の蓄積を行ってきました。その歴史の中で、様々なノウハウを身につけ、所有する知的財産も多数に上ります。
 たとえば材料のセラミックスについていえば、組成や不純物、焼結密度、空孔径などの基本的な物性のみならず、結晶粒径や粒径分布、粒界構造、空孔分布といった、高品質セラミックスを創り上げるために欠かせない、高度な物性制御を行う能力を持っています。また、デバイス化のための積層プロセスにおいても、先見の明がもたらした、全面電極構造という、シンプルかつ王道的な特許技術を使って、圧電デバイスの弱点を回避し、新たな幅広い用途を開拓しつつあります。さらに、セラミックスを素子に加工し、ユニット化する技術や、できあがったデバイスやユニットの性能を、客観的に評価する計測技術にも、古くからの実績があります。
 このように、当社の持ち味は、最も基本の材料技術から、ユニット化技術、計測技術まで、圧電デバイスを創り上げる全てのプロセスについて、確固とした体系的技術力を持つことです。NECトーキンの、圧電技術の全体を展望しつつ、顧客のニーズに即応できる体勢は、一つの文化といっていいかもしれません。



 21世紀において、圧電デバイスは、もとからあった市場のさらなる拡大はもちろん、電磁型が主流だった市場の置き換えや、今までにない全く新しい用途開拓など、ますます利用が拡大していくと予想されています。
その時代に向けて、当社の優れた技術力は、大いに社会に貢献していく事でしょう。


注: *1 当社は、耳軟骨への振動伝達による音響テクノロジーに関し、奈良県立医科大学の細井裕司教授からご指導をいただいております。2004年5月12日以降、軟骨伝導に関係する特許出願を行なっておりますが、これら特許出願における「軟骨導」等の軟骨伝導に関わる知識や文言は、細井教授から当社に教示されたものであります。